パチスロ屋とは理不尽なものである
「おまえどうなってんだよ!!」
怒号が飛んだ。
理不尽に。
とある日の夜。
その日は、本来赤字想定で組んだ島が予定通りに出玉が奮わず、店側の大幅な勝利となってしまった日だった。
店員に怒鳴っているのは店長だ。
事務所で怒鳴り声が飛ぶのは精神衛生上よろしくない。
よろしくないが、そう珍しいことでもない。
たまにあることだ。
その日黒字になってしまった島は10台中、設定6を3台、5を1台、4を6台。
中間こそ多めなものの全台456で営業していた。
普通ならば客側が勝つ。
しかし、6の不発や4の低稼働がたたり、店側が勝ってしまった。
そのことに関して、店長は調整担当の役職に怒る。
当然店長は前日に設定を確認している。
しかし、我らが店長は予算こそ提示するものの、基本的な組み方はほぼ担当に一任しているため、口を出すことはほぼない。(おかげである意味やりやすい)
口を出すのは終わった後。
こうして想定より抜けてしまった時に、担当に怒りをぶつける。
担当はおそらくベストを尽くした。
十分客側が勝てる設定だし、出なかったのは運によるものも大きい。
もちろん全6にしてしまえば赤字になっただろうが、その日までの予算進行なども加味すると、そこまでは入れられなかった現実もある。
だから店長の怒りは理不尽だと、そう感じる。
だけど、店長は言うのだ。
「負けた客の気持ちになってみろ。結果として信頼を裏切った事実を考えろ」
「スロットもパチンコも理不尽なもんだろ。高設定打ったって勝てない時は勝てない。今日お客が負けたのも、理不尽な負け方だろ」
「だったらおまえらも理不尽に怒られなかったら、客の気持ちが一生わからねーだろ!」
筋が通ってるのか通っていないのか。
だけど私はまあ、そうかもな、と思った。
「俺は設定入れたし。負ける方が悪い」
そんな気持ちで調整をやっていては、本当にいい調整はできないのかもしれない。
客と同じ、理不尽な立場に自分も追い込まなければ、本当にお客様のための調整というのはできないのかもしれない。
ただ設定を入れるだけでなく、どこに、どうやって、どの設定を、より真剣に考えることができるのかもしれない。
まあ、それにしたって出ない時は出ない。
出過ぎる時は出過ぎる。
だからどう頑張ったって理不尽さは拭えないし、いつまでも怒られるのだろうけど。
パチンコとスロットがそうある以上は、それは変わらないのかもしれない。